シェア畑深大寺になるまで

9月になり、学校も始まりました。
我が家の子供たちも今週の月曜日から2学期が始まりました。

シェア畑深大寺もお陰様で丸1年を迎えました。
利用者の皆様やスタッフの支えによりまして、ここまで辿り着くことができました。
深く感謝申し上げる次第です。

利用者の方たちとお話ししていますと「ここは今まで何だったんですか?」という質問を受けることがあります。
この際2年目を迎え、備忘録を兼ねてここに書き置きたいと思います。

私の父は農家の次男でして、公務員の傍ら、祖父から譲り受けた畑で農業をしていました。
祖父は野菜を作っており、父も一緒に作っていたのですが、昭和30年代くらいから高度成長期に入り、植木が良く売れるようになり、父も野菜から植木へと畑を変えて行きました。昭和40年代は景気が良く、植木も右から左へと良く売れて、回転も良かったそうです。

時は流れて平成の世になりました。世の中不景気になりまして、植木はほとんど売れなくなりました。
畑の植木はほとんど売れず、剪定をしたりする手間の方がかなり負担になっていました。父も高齢になり、公務員を早期定年退職した後も専業で植木を生産販売していましたが、ほぼ徒労に終わる日々の連続でした。

そんな父も2003年に亡くなり、残された母と私は父の畑を引き継ぎましたが、何ら変わることはありませんでした。父はほぼ急死だったので私に何も引き継ぐことはできず、何も分からないまま現状を維持すべく日々母を手伝っていました。母も農家出身ではありましたが、野菜を作ったことしかなく、草むしり(草かき)に追われる日々でした。

母からすれば父が残した物を自分で変えてしまうことは到底できなかったと思います。何とか現状維持したいと考えていたようです。
その母も2014年の夏に亡くなりました。母の遺言は「私が死んだら、あんた(私)の好きなようにしなさい。」ということでした。

母の死後、畑をどうすべきか色々考えました。ある日新聞の折り込み広告にシェア畑調布深大寺の内野さんの体験農園のチラシを発見しました。これは我が家の畑でもできないものかとその運営会社である株式会社アグリメディアに問い合わせをし、打ち合わせをさせてもらいました。

少し難しい話になりますが、畑(農地)には大きく分けて3種類あります。
1.全く何の指定も受けていない宅地並み農地
2.生産緑地の指定を受けた農地
3.生産緑地の指定を受け、かつ納税猶予も受けた農地

また、土地に拘わる税金として大きなものが主に3つあります。
A.固定資産税
B.相続税
C.譲渡所得税

1.の全く何の指定も受けていない宅地並み農地の場合、宅地なので評価額は非常に大きく、税金は何れも高額になります。これだと、農業を継続するには非常に厳しい負担となります。
そこで2.生産緑地の指定を受けた農地となることで、固定資産税だけはかなり低額に抑えて農業を継続し易くしました。ただ、それでも相続ともなれば生産緑地であろうと宅地並みに評価され、相当な額の相続税を支払わねばなりません。そこでさらに3.生産緑地の指定を受け、かつ納税猶予も受けた農地ということになり、これで固定資産税も相続税もそれなりに抑えることができます。
ただし、3の場合は、農地の管理は非常に厳しく、売り上げが上げられることは要件ではありませんが、草を茫々に生やしていたり、他の用途に使用したりすると、納税猶予が打ち切られ、利子税を含めて膨大な相続税を課されることになります。ですので3番を選択するのは非常に勇気が必要です。

ということで、母の相続の際、色々考えた末、2番の生産緑地の指定を受けた農地を選択し、今まで受けていた納税猶予は受けないことにしました。シェア畑にするにあたり、納税猶予を受けているかどうかは大きな違いがあり、もし納税猶予を受けていた場合にはシェア畑はできず、体験農園にせざるを得ませんでした。
体験農園になると私が園主として主体的に農園を運営していかなければなりません。ですが、納税猶予を受けていない場合に限り特定農地貸付法という法律により貸農園として運営ができます。
私は野菜等の経験もなく素人同然ですので、こちらの貸農園方式を選択するしかなかったわけです。

こうして様々な段取りを経て、生産緑地を利用することから農業委員会を管轄する調布市とも貸付協定を締結してシェア畑が始められるようになりました。

平成27年6月、植木畑は業者により植木が伐根され、更地になりました。その後、区割り等の作業が入り、ビニールハウスやトイレができ、水道工事を行い水道を引き込み、8月末ようやく開業となりました。

今まで農地として我が家の為だけに存在し、ほとんど出回ることのない植木に覆われ、ほとんど生産緑地として社会貢献できてなかったのですが、これで近隣の方たちに利用頂き、多少なりともお役に立てたような気がしています。
農家に生まれた者として農地は守りたい半面、そこを活用して収益を上げて行くことは非常に厳しい現実です。その中で、生産緑地を維持し、固定資産税を抑えつつ、人様に貸し出し、人様のお役に立てることはそれなりに意義のあることではないかと考えています。

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今日現在のシェア畑深大寺の様子です。

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